医学博士 矢野 邦夫 様
名古屋大学医学部卒業。浜松医療センター感染症管理特別顧問、浜松市感染症対策調整監、感染症専門医・指導医、エイズ学会認定医・指導医、日本医師会認定産業医。著書に「CDCガイドラインの使い方」「手術医療の感染対策がわかる本」「うっかりやりがちな新型コロナ感染対策の間違い15」などがある。全国の医療従事者に向けて講演を行うなど幅広く活躍中。
感染症研究の第一人者として、感染症対策に関する著書を多数執筆。新型コロナウイルスの感染拡大によりその対策の在り方が注目を集めています。
手術室における感染対策のために、どのような服装が求められるのでしょうか? ―
手術室の外回り看護師さんたちは、短い半袖のスクラブを着用されていることが多いです。それだと、皮膚から排出される皮膚鱗屑や、皮膚微生物「プロピオニバクテリウム」や「黄色ブドウ球菌等」が空気中に拡散して患者の術野に付着し、感染を引き起こしてしまう可能性があります。長袖のスクラブでそれらを服の内側に閉じ込めることで、リスクを軽減することができます。日本ではまだそのようなスクラブを作られている企業を存じ上げなかったので、ミドリ安全さんと協力できてよかったと思います。
現場の看護師の皆様の反応はいかがでしたか? ―
実際に手術室のスタッフにも意見をもらったり、手術時に着用してもらいました。肌触りがよかった、生地に伸縮性があるので動くことの多い現場にピッタリだという声がありました。また意外と手術室は冷えることが多いので、長袖だと防寒の役割も果たすとのことです。
他にお気づきになられたことはありますか? ―
露出した肌が感染源になることを認識していなかったスタッフが大勢いたことに驚きました。流通しているスクラブが半袖だから仕方ないことですよね。「長袖のスクラブを通して、感染経路を遮断する。」今回監修させていただいたVEM5000上シリーズを通して、長袖スクラブの有用性を広めていければなと考えております。
手術室内において適切なシューズとは、どのようなものでしょうか? ―
手術室で使用するシューズは、足を守ることが絶対の条件です。医療器具の落下、血液の飛散には注意を払わなくてはなりません。また床が濡れてすべることもあるので、グリップ性能が高いことも見逃せません。ミドリ安全のNHF-700というシューズはそれらの点を驚くほど高いレベルで満たしているシューズだと思います。
NHF-700を履いてみていかがでしたか? ―
踵のクッション性に優れ、靴の中がムレにくいので、長い時間履いていても足が疲れにくい。またグリップ力が優れているので、滑ることがほとんどありません。点滴の溶液で濡れた床で足を滑らせて転ぶことがありますので、シューズで未然に防げることは大きいですね。手術用としてはもちろん、私は雨の日は好んで履いています。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、どのような活動をされていますか? ―
現在は月に10回程度、医療従事者向けや一般の方々向けに新型コロナウイルスに関する講演をさせていただいています。感染拡大予防の観点から、すべてオンラインですね。看護師やドクターが対象であれば、導入が期待されているワクチンのことや、変異ウイルスに関してのお話を。一般の方が対象のときは、わかりやすく、安心できるようなお話をしています。不必要に不安を与えないことが大事ですね。
全国の医療従事者の皆様に向けて、お伝えしたいことはございますか? ―
コロナウイルスは飛沫を吸い込んで感染するパターンが非常に多いです。また、自分の手や指に付着したウイルスを知らずに目や鼻をこすって感染することも考えられます。感染経路を今一度認識して、正しい対策をとる。アルコール消毒も非常に有効です。必要以上に恐れず、冷静に対処して共に乗り越えていきましょう。 ※この記事は2021年1月12日に撮影した内容を基に作成しております。